台湾のThreadsについて、資料や記事に書くための数字を探すと、いくつもの数字が出てきます。9,486万アカウント、世界の21.08%、利用者の66%がパソコン。
このうち最初の2つは誤り、3つ目は実態と違う読み方です。
Metaは、Threadsの国別の利用者数もアカウント数も公表していません。出回っている数字はすべて外部からの推計で、何を測ったものかがそれぞれ違います。ここを混ぜると、人数ではないものを人数として書いてしまいます。
この記事では、出回っている数字を一次資料まで戻して確かめ、実際の数字を整理します。
9,486万
誤りと判定されたアカウント数
665万人
18歳以上の広告リーチ(2025年後半)
0件
Metaが公表した国別の利用者数
前提:Metaは国別の数字を公表していない
最初に押さえておく必要があるのは、比べるべき「正解」が存在しないことです。
台湾ファクトチェックセンターは、査核報告のなかで、Metaが各国のアカウント数を公表していないと明記しています。Meta自身の発表も、全体の月間アクティブアカウント数と、一部地域の利用時間の伸び率を出しているだけで、国別の利用者数は示していません。
出典:台灣事實查核中心「網傳『台灣有9486萬Threads帳號』,是統計報告誤植數據」査核報告4132(2026年5月4日公開、5月5日更新)、Meta「Threadsの月間アクティブアカウント数が5億を突破、日本でもコミュニティ機能を導入」(2026年6月17日)
つまり、出回っている数字はすべて外部の推計です。推計そのものが悪いわけではありません。問題は、何を数えた推計なのかが途中で入れ替わってしまうことです。
誤り1 「台湾に9,486万アカウント」は計算の間違い
台湾ファクトチェックセンターは2026年5月4日、「台湾には9,486万のThreadsアカウントがある」という情報を誤りと判定しました(査核報告4132)。この数字は、次の掛け算で作られていました。
査核報告は、この計算が成り立たないと述べています。国立台北大学の廖凱弘助理教授のコメントが引かれています。
アクティブユーザーは重複を除いた個人を数えるのに対し、流量は訪問数やページビュー数で、累積する数値である。単位の異なる両者を掛け合わせるのは、どちらの統計でも論理的に正しくない。
数字を出したResourceraも、2026年4月21日に「ユーザーではなくトラフィックだった」と説明し、該当部分を削除しています。2つの数字はそもそも同じ出所ではありませんでした。
出典:台灣事實查核中心 査核報告4132(記者:宋思彤、責任編輯:陳偉婷)
念のため書くと、台湾の人口は約2,330万人です。9,486万は、赤ん坊から百歳まで全員が4つずつアカウントを持っていないと届かない数字でした。
この訂正は台湾では報道されましたが、日本語に訳されていません。訂正前の数字を引いた日本語の投稿が、いまもThreads上に残っています。資料を作るときは、この数字を見かけても使わないでください。
誤り2 「台湾が世界の21.08%」は、人数の話ではない
21.08%は、QSearchの数字でも、利用者数の割合でもありません。台湾のメディアの多くが、この数字を「QSearch 2026」として紹介しています。しかし査核報告がたどった出所はSemrushで、内容はthreads.comというウェブサイトへのアクセスのうち、台湾からの分が占める割合でした。
ここが、この記事でいちばん伝えたい区別です。人数(何人いるか)、流量(何回開かれたか)、投稿量(何件投稿されたか)は、それぞれ別の数字です。3つを混ぜて掛けたり割ったりすると、9,486万のような数字が出てきます。
同じ流量でも、ツールと時点で18.86%から24.04%まで動く
「台湾が世界の何%か」という数字は、出どころと時点によって5ポイント以上ばらついています。単位:% いずれも台湾が世界に占める割合とされている推計。QSearchは算出方法の記載がなく、ほかはSemrushによるthreads.comへのアクセスの推計
出典:QSearch「台灣 Threads 品牌行銷完整指南」(2026年4月16日、分析期間は2025年1月1日〜12月31日)、Semrush「threads.com Website Traffic」(2026年9月のデータ、最終更新2026年10月14日)、台灣事實查核中心 査核報告4132(Resourceraが引用したSemrushの値)
QSearchは24.04%とし、2位の米国(17.30%)を約7ポイント上回るとしています。原文はこうです。
台灣佔全球 Threads 流量的 24.04%,全球排名第一,領先美國(17.30%)將近 7 個百分點。
(台湾は世界のThreadsの流量の24.04%を占め、世界1位。米国の17.30%を7ポイント近く上回る)
この記事の資料出所は、冒頭と末尾に「QSearch Data Research、分析期間2025年1月1日〜12月31日、QSearch Trend、台湾Threadsの全年の公開投稿データ」と明記されています。ただし24.04%については「流量」とだけ書かれていて、算出方法の説明がありません。公開された投稿を数えた集計から、ウェブサイトへのアクセスの割合は出てきません。この数字が何を測ったものなのかは、記事からは分からないということです。
一方、Semrush自身のページを見ると、数字は動いています。
単位:% Semrushの推計。スマートフォンのアプリからの利用は含まない
出典:Semrush「threads.com Website Traffic」(2026年9月のデータ、最終更新2026年10月14日)
2026年9月のデータでは、1位は米国の20.24%、台湾は18.86%で2位です。2026年1月の時点では台湾が21.72%で1位でした。
ここから言えるのは、「台湾が世界1位」が嘘だということではありません。この種の推計は数か月で順位が入れ替わる程度の精度だ、ということです。資料に書くなら、どのツールの、いつ時点の数字かを必ず添える必要があります。
誤り3 「台湾人の66%はパソコン」が成り立たない理由
この数字も、アプリの利用が母数から抜けていることで生まれています。査核報告は、Semrushが測っているのはthreads.comへのウェブのアクセス(パソコンとモバイルのブラウザ)だけで、スマートフォンのアプリからのログインは含まれないと指摘しています。
単位:% Semrushの推計。アプリからの利用を含まないため、実際の利用習慣とは差がある
出典:Semrush「threads.com Website Traffic」(2026年9月のデータ)
台湾は62.41%、日本は46.73%、米国は23.98%、インドは8.61%です。査核報告が引用した時点では台湾は66.12%で、そこから「66%」という言い方が広まりました。
台湾と日本でパソコンの比率が高く出ていますが、これは両国でブラウザからThreadsを開く人が相対的に多いことを示すにとどまります。「台湾人の3人に2人はパソコンで使っている」という読み方はできません。
銘傳大学の邱慧仙助理教授は査核報告のなかで、第三者の監測プラットフォームの数字は推定値であり、公式発表や複数の調査が一致しないかぎり単一の情報源を全面的に信用すべきではない、と述べています。
使ってよい数字は、3つある
ここまで否定ばかり書いたので、実務で使える数字をまとめます。この3つは、何を測ったかがはっきりしています。
人数の目安 広告リーチ665万人
DataReportalの「Digital 2026: Taiwan」によると、2025年後半の時点で、台湾のThreadsの広告リーチは665万人です。18歳以上の33.5%、総人口の28.8%にあたります。Metaの広告ツールが示す「広告が届く推定人数」です。
ただし、DataReportal自身が注記を置いています。
Estimated audience size is not a proxy for monthly or daily active users.
(推定オーディエンス数は、月間・日間のアクティブユーザー数の代わりにはならない)
DataReportalは、この数字が人口統計と一致するようには作られていないことも書いています。1人が複数のアカウントを持っている場合や、一時的に滞在している人が含まれる場合があるためです。プラットフォーム側が重複や不審なアカウントを削除すると数字が急に減りますが、それは人の利用が減ったことを意味しません。
「台湾のThreads利用者は665万人」とは書けません。「広告が届く推定人数は665万人」と書いてください。規模感をつかむ用途には十分に使えます。
出典:DataReportal「Digital 2026: Taiwan」(Metaの広告ツールによる推定、2025年後半の時点)
全体の規模と伸び Metaの公式発表
Metaは2026年6月16日(米国時間)、Threadsの月間アクティブアカウント数が5億を超えたと発表しました。あわせて、アジア太平洋地域の利用時間の伸びとして、韓国が前年比80%、日本が130%超という数字を出しています。同じ発表で、コミュニティ機能を日本・韓国・台湾に導入するとしています。
国別の利用者数は、この発表にも含まれていません。Metaが公表しているのは、全体の数と、一部地域の伸び率だけです。
出典:Meta「Threadsの月間アクティブアカウント数が5億を突破、日本でもコミュニティ機能を導入」(2026年6月17日公開)
台湾での動き 投稿を数えた集計
QSearchは、台湾のThreadsの公開投稿そのものを数えています。2025年の1年間で、投稿3,657万件、コメント2.28億件、声量は2.6億件を超えました。1投稿あたりの平均コメント数は6.2件、平均いいね数は4,499です。
これは推計ではなく、実際に収集した投稿の集計です。台湾でどれだけ会話が起きているかを示す材料としては、トラフィックの推計よりも確かです。
出典:QSearch「台灣 Threads 品牌行銷完整指南」(2026年4月16日、分析期間は2025年1月1日〜12月31日、QSearch Trendによる分析)
資料に書くときの表記
社内の稟議書や提案書に書くときは、数字のうしろに「何を測ったか」と「いつの時点か」を付けるだけで、後から崩れなくなります。
数字を小さく正確に書いたほうが、社内の確認も、取引先への説明も早く終わります。大きい数字は、出所を聞かれた瞬間に止まります。
まとめ
- Metaは、Threadsの国別の利用者数もアカウント数も公表していない。出回っている数字はすべて外部の推計
- 「台湾に9,486万アカウント」は誤り。台湾ファクトチェックセンターが2026年5月4日に査核報告4132で判定し、数字を出したResourceraも4月21日に訂正・削除した
- 9,486万は、月間アクティブ4.5億(推計)に台湾のトラフィック比率21.08%を掛けた数字で、人数と回数という単位の違うものを掛け合わせている
- 「台湾が世界の21.08%」はSemrushの推計で、QSearchの数字ではない。測っているのはthreads.comへのアクセスで、アプリの利用を含まない
- 同じ「台湾の割合」でも、QSearchは24.04%、Semrushは2026年1月に21.72%、2026年9月には18.86%。この時点では米国(20.24%)が1位
- 「台湾人の66%がパソコン」は、アプリが母数から抜けているために出た数字
- 使える数字は3つ。広告リーチ665万人(DataReportal、2025年後半)、月間アクティブ5億(Meta公式、2026年6月)、投稿3,657万件(QSearch、2025年通年)
この記事の引用のしかた
数字や内容を引用される場合は、下記の表記をそのままお使いいただけます。
この記事で扱った一次資料は、すべて本文中にリンクを張っています。孫引きにならないよう、可能であれば一次資料のほうをご参照ください。
台湾のThreadsで実際に何が起きているか、広告をどう設計するかは台湾のThreads広告|成人の3人に1人に届く665万人に書きました。繁体字での運用やコメント対応を社外に任せたい場合は、お問い合わせからご連絡ください。台北のオフィスから、台湾側で返せる体制でお引き受けしています。
よくある質問
- 台湾のThreadsのユーザー数は何人ですか。
- Metaは国別の利用者数もアカウント数も公表していないため、正確な人数は誰も知りません。目安として使えるのはDataReportal「Digital 2026: Taiwan」が示す広告リーチ665万人で、18歳以上の33.5%、総人口の28.8%にあたります(2025年後半の時点)。ただしDataReportal自身が「推定オーディエンス数は月間・日間のアクティブユーザー数の代わりにはならない」と注記しているため、利用者数そのものとして引用することはできません。
- 「台湾に9,486万のThreadsアカウントがある」というのは本当ですか。
- 誤りです。台湾ファクトチェックセンターが2026年5月4日に査核報告4132として誤りと判定しました。この数字は、月間アクティブアカウント4.5億という推計に、台湾のトラフィック比率21.08%を掛けて算出されたものです。人数と回数という単位の違う数字を掛け合わせており、計算として成り立ちません。台湾の人口は約2,330万人です。数字を出した米国のResourceraも2026年4月21日に誤りを認め、該当部分を削除しています。
- 「台湾がThreadsの世界トラフィックの1位」というのは正しいですか。
- 出どころと時点によって変わります。QSearchは24.04%で世界1位としていますが、Semrushの2026年9月のデータでは米国が20.24%で1位、台湾は18.86%で2位です。いずれもthreads.comというウェブサイトへのアクセスの推計で、スマートフォンのアプリからの利用は含まれません。利用者数の割合でもありません。
- 「台湾人の66%はパソコンでThreadsを使っている」というのは本当ですか。
- 実態とは異なります。この数字はSemrushがthreads.comというウェブサイトへのアクセスだけを測ったもので、スマートフォンのアプリからの利用が含まれていません。アプリを除いた母数のなかでパソコンの比率が高く出ているだけです。なおSemrushの2026年9月のデータでは、台湾のパソコン比率は62.41%です。





