目次9章 / 9項目
  1. いま起用されているのは、KOLだけではありません
  2. フォロワー数で選ばない
  3. 1人では届きません。数と、語る軸を分けます
  4. 台湾の人は、見たあとに検索します
  5. 検索してKOLの投稿ばかりが出てくると、広告だと思われます
  6. 見るのは、検索したときに何が出てくるか
  7. 費用の目安と、相場が公開されていないという事実
  8. この記事が当てはまらない場合
  9. まとめ

台湾でKOLを起用したい、というご相談をよくいただきます。そのときにまず聞かれるのが、フォロワー数と費用です。

ただ、この2つから入ると、たいてい思ったような結果になりません。フォロワー数は費用にはきれいに比例しますが、成果には比例しないためです。

そしてもう1つ。台湾の人は、KOLの投稿を見たあとに、その商品や店を自分で検索します。検索した先に何が出てくるかで、買うかどうかが決まります。ここまで含めて設計しないと、投稿の数字だけが良くて売上が動かない、ということが起こります。

この記事では、KOLとKOCの違い、フォロワー数以外に何を見るか、費用のおおまかな目安、そして検索結果をどう整えるかを順に書きます。

いま起用されているのは、KOLだけではありません

KOLは「Key Opinion Leader(キー オピニオン リーダー)」の略で、台湾では網紅とも呼ばれます。日本でいうインフルエンサーにあたる人たちです。

ここ数年で存在感が増しているのが、KOC(キー オピニオン コンシューマー)です。職業として発信しているわけではない、消費者に近い立場の人たちを指します。フォロワーは数千人から1万人程度ですから、お仕事やタイアップ目的ではなくプライベートでSNSを運用されているケースがほとんどです。

台湾のインフルエンサーのデータベースを見ると、この層が大半を占めています。

区分フォロワー数の目安台湾での割合
ナノ(KOCにあたる層)1万人未満68.5%
マイクロ以上1万人以上31.5%

出典:iKala「2024台灣網紅行銷及社群趨勢洞察報告」(KOL Radarに登録された台湾のインフルエンサーの構成。データ期間は2023年10月〜2024年3月)

市場全体も、この方向に動いています。台湾のデジタル広告費のうち、インフルエンサーとライブ配信の広告は2025年に57億3,300万台湾元で、前年より5.26%増えました。同じ統計で、記事広告や口コミ施策にあたる項目は減っています。

出典:台湾数位媒体応用暨行銷協会(DMA)「2025年台灣數位廣告量統計報告」(2026年8月12日発表。デジタル広告費の総額は661.77億台湾元で前年比3.92%増。業界団体による推計であり、政府統計ではありません)

お金を払って書いてもらう記事より、実際に使った人の発信のほうに予算が移っている、と読めます。

フォロワー数で選ばない

KOLの費用は、フォロワー数でほぼ決まります。一方で、投稿にどれだけ反響があるか(エンゲージメント率)は、フォロワーが増えるほど下がっていく傾向があります。

フォロワー数エンゲージメント率の目安
1,000〜5,000人4〜5%
5,000〜5万人2.5〜3.5%
5万〜50万人2〜2.5%
50万人以上1〜2%

出典:HypeAuditor(2025年・Instagram)。調査の対象期間と件数が公表されていないため、正確な数値ではなく傾向の目安としてご覧ください。台湾に限った階層別の数値は、公開されていません。

フォロワーが多い人は、たしかに多くの人に届く場合があります。ただ、その人のフォロワー全員が、その商材に関心を持っているわけではありません。選ぶときに見ているのは、次の3つです。

01

ファンの属性が、届けたい相手と重なっているか

年齢、性別、住んでいる地域、興味の方向。訪日の商材なら、日本によく行く人がフォロワーに多いかどうかまで見ます。フォロワー数が多くても、ここがずれていれば空振りします。

02

普段、何を語っている人か

食の話をしている人に化粧品を持たせると、フォロワーからは「急に違う話を始めた」と見えます。その人がもともと語ってきたストーリーに、自然に溶け込める商材かどうか。ここが合っていれば、フォロワーが少なくても反応は返ってきます。

03

コメントの中身

数ではなく中身の話です。「いいね」だけが並ぶ投稿と、コメントが多く書き込まれる投稿とでは、同じ数字でも意味が違います。後者の人は、フォロワーとの間に信頼があります。

カケハシでは、AIマーケティング企業iKalaのKolrと提携し、3億件を超えるインフルエンサーのデータで人選しています。感覚で決めず、フォロワーの属性と過去の投稿の反応を見てから提案する形です。詳しくはiKalaとの提携をご覧ください。

CASE

日本の百貨店系アパレルブランド様

2026年|目的:台湾でのブランド認知と越境ECの販売

4

起用したKOL・タレント

204,064

7投稿の閲覧・再生

93,235

リーチ

各投稿の公開から1週間後の数字です。詳しくはアパレルブランド様の事例に書いています。

ポイントフォロワー3万人から80万人まで、規模の違う4名を組み合わせました。服の良さを語れるKOL3名と、ファッションの外にも届くタレント1名。役割を分けたことで、狭く深く伝える投稿と、広く知らせる投稿の両方が成立しました。

1人では届きません。数と、語る軸を分けます

フォロワーの少ない人でも、方向性が合っていれば効きます。ただしその代わり、1人では足りません。ある程度の数を起用する前提で組み立てます。

同時に大事なのが、同じ商材を、違う軸で語ってもらうことです。同じ内容の投稿を同じ言い回しで並べると、数を増やしても効果は増えません。それどころか、「なんか広告っぽいなぁ」と反応が弱まる原因になります。

  • 使う場面で分ける — 家族で行ったとき、1人で行ったとき、雨の日に行ったとき
  • 役割で分ける — 商材そのものを深く語る人と、存在を広く知らせる人
  • 媒体で分ける — Instagramの写真、YouTubeの長い動画、Threadsの短い文章
  • 時期で分ける — 1回で終わらせず、間隔を空けて重ねる
Asuka営業統括

1人の大きなKOLに全部を預けるより、方向性の合う人を複数名、時期をずらして起用するほうが、結果として同じ予算でも残るものが多くなります。投稿が1本だけだと、見た人はその日に忘れてしまいます。

台湾の人は、見たあとに検索します

ここがいちばん大事なところです。

観光庁の調査で、台湾の人が旅行前に役に立ったと答えた情報源を見ると、全国籍の平均とは順位が違います。

情報源台湾全国籍・地域の平均
動画サイト(YouTubeなど)45.5%39.6%
SNS(Facebook、Xなど)42.7%43.3%
個人のブログ29.0%23.9%
日本政府観光局のホームページ17.1%12.2%
旅行会社のホームページ16.1%11.8%

出典:観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年 年次報告書」(複数回答。台湾の有効回答数2,468)

台湾だけ、動画サイトがSNSを上回って1位です。個人のブログも平均より5ポイント高くなっています。どちらも、短く流れていく投稿ではなく、腰を据えて調べるための情報源です。

旅行の形にも同じ傾向が出ます。台湾からの旅行者のうち、団体ツアーは17.8%で、77.5%は個別手配です。初めての来日は12.1%しかなく、残りはリピーターです。自分で調べて、自分で決める人たちだということです。

つまりKOLの投稿は、多くの場合ゴールではありません。「これは何だろう」と思ってもらう入口で、そのあと必ず検索されます。

検索してKOLの投稿ばかりが出てくると、広告だと思われます

検索した先に、起用したKOLの投稿しか出てこない状態は危険です。

台湾の読者は、案件の投稿を見慣れています。同じ時期に、似た構図の写真と似た言い回しの投稿がいくつも並んでいれば、お金を払って書いてもらったものだと思われがちです。そのうえ、それ以外の情報が検索結果にない。この2つが重なると、「広告により露出された商品」という印象になります。

商材によっては、それが決定打になります。値段が高いもの、口に入れるもの、肌に付けるもの、そして旅行のように失敗したくない買い物ほど、判断は慎重です。

投稿に「#合作」「#業配」といったタイアップの表示を出すことは、日本の景品表示法でも台湾のルールでも必要です。隠すという話ではありません。表示を出したうえで、それ以外の材料も検索結果に並んでいる状態を作る、という話です。

見るのは、検索したときに何が出てくるか

KOLを起用する前に、その商材を台湾の言葉で検索してみてください。何も出てこない、あるいは自社の公式ページしか出てこないなら、先に置いておくものがあります。

CHECK 01

台湾のメディアに載っているか

現地のニュースサイトや旅行メディアの記事が1本あるだけで、検索結果の見え方は変わります。KOLの投稿と違い、第三者が書いた記事として読まれます。

CHECK 02

日本側でも話題になっているか

訪日の商材では、ここが効きます。台湾からのリピーターは、日本語のページも読みます。日本人の口コミや、日本のメディアの記事が一定量あるかどうかを見ています。台湾だけで盛り上がっていて日本では誰も知らない、という状態は、見る人が見れば分かります。

CHECK 03

繁体字の受け皿があるか

検索した人が最後にたどり着くのは、自社のページです。繁体字で書かれていること、営業時間や予約の方法が分かること、Googleの地図に情報が出ていること。ここが空だと、それまでの投稿がすべて途中で止まります。

繁体字のページをどう作るかは、台湾向けLPが伸びない理由に書いています。検索結果を整えたあとの広告の組み立ては、台湾向け広告の媒体と費用をご覧ください。

費用の目安と、相場が公開されていないという事実

台湾のKOLの費用について、公的機関や調査会社が出した相場のデータは、調べたかぎり存在しません。検索して出てくる相場表は、仲介サイトや代理店が示している案内です。実際の金額は、その人の人気だけでなく、時期、競合の状況、依頼の内容で動きます。

おおまかな目安としては、こうなります。

  • フォロワー1万人未満(KOC) — 1投稿あたり数万円の範囲に収まることが多い
  • 10万人前後 — 1投稿で十数万円から数十万円
  • 100万人規模 — 1本で100万円を超えることもある

見積もりのときに、投稿料とは別に付くものがあります。ここを見落とすと、あとで金額が変わります。

  • 投稿を、そのKOLの名前のまま広告として配信する許可(ホワイトリスト広告。台湾では「白名單」と呼びます)と、その期間
  • 撮影した写真や動画を、自社のページや広告に使う権利と、その期間
  • 撮影費、スタジオ代
  • 日本に招く場合の渡航費、宿泊費、拘束日数分の費用
  • 投稿文の翻訳と、公開後のレポート

この記事が当てはまらない場合

  • 1回の投稿で売り切りたい場合: この記事は、検索されることを前提にした組み立てです。期間限定のセールのように、その場で買ってもらうことだけが目的なら、広告配信のほうが向きます
  • 台湾から買えない、予約できない商材の場合: 検索した先に買う手段がないと、どれだけ話題になっても止まります。先に導線を用意してください
  • 化粧品、健康食品、医療に関わる商材の場合: 台湾では広告の表現に規制があります。KOLの投稿も対象です。起用の前に、言ってよい範囲を確認する必要があります

まとめ

台湾のKOL施策で見るべきなのは、フォロワー数ではありません。ファンの属性と発信の方向性が合っているか、そして数と軸を分けて重ねられるかです。

そのうえで、投稿を見た人が検索したときに、メディアの記事と、日本側の話題と、繁体字の受け皿が並んでいる状態を先に作っておく。ここまでが1つの施策です。

どこから手を付けるべきかは、商材と、いま検索したときに何が出てくるかで変わります。一度ご覧になったうえで、ご相談ください。