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目次
中国から台湾へ。インバウンド予算シフトの進め方
「これまでインバウンドの主軸だった中国市場の先行きが見えない……」
「リスク分散のために台湾市場を強化したいが、何から手をつければいいのか?」
今、多くの鉄道会社、百貨店、ホテル、エンターテインメント施設のマーケティング担当者様から、このようなご相談をいただく機会が急増しています。地政学的な不安定さが続く中、一国に依存しない集客構造の構築は、日本の観光インフラを担う企業にとって避けては通れない経営課題です。
しかし、中国向けの施策をそのまま台湾に当てはめても、期待した成果は得られません。文化、SNSの利用動向、そして消費価値観が根本から異なるからです。
本記事では、台湾インバウンドの最前線に立つ広告代理店の視点から、既存の中国向け予算やリソースを、いかに効率的、かつ戦略的に「台湾シフト」させていくべきか、その具体的なステップを解説します。
1.データが語る台湾市場へ投資すべき4つの真実
出典:JNTO・観光庁・日本交通公社(2024年)

台湾市場と中国市場を客観的なデータで比較すると、その「投資効率」の差は一目瞭然です。政治・外交リスクに左右されやすい中国市場に対し、台湾は安定した送客量を維持しており、施策の効果が読みやすいのが特徴です。特にリピーター率86%という数字は、一度沿線のファンになれば長長期にわたって収益に貢献してくれることを意味します。

驚筆すべきは、台湾の「訪日熱」の高さです。総人口に対する訪日率は約26.3%。つまり、台湾では4人に1人が毎年日本を訪れている計算になります。この市場密度の高さは、沿線にある百貨店やホテルにとって、中国(0.5%)と比較しても「ターゲットへの到達率」が圧倒的に高いことを示しています。

インバウンド集客担当者にとって最も注目すべきデータが、この「リピーター率86%」です。訪日回数10回以上のヘビーリピーターが多い台湾客は、主要都市の有名観光地を卒業し、よりローカルな沿線の魅力を求めています。リピート回数が増えるほど「地方へ足を伸ばす」傾向が強いため、主要駅から離れた沿線施設や地方路線への送客が現実的な戦略となります。

2019年比でいまだ未回復の市場が多い中、台湾はすでに+22%という驚異的な回復・成長を見せています。2024年には過去最高の訪日客数を更新しており、先を見据えた中長期的なインバウンド投資において、「安全な投資先」であることは間違いありません。
2.なぜ今、中国市場から台湾市場へのシフトが「急務」なのか
現状分析: 地政学リスクによる中国市場の不透明感。
台湾市場の魅力: 訪日リピーター率の高さ、親日感情、そして何より「安定性」。
この記事で得られること: 鉄道・商業施設・ホテルが、既存の中国向け予算や素材をどう効率的に台湾へスライドさせ、成果を出すかの具体策。
3.中国向け施策を「台湾向け」に転用するための3つのチェックポイント
①素材の転用(簡体字→繁体字): 単なる変換ではない。フォント選びや用語(例:酒店→飯店)の最適化で「違和感」を消す。
②プラットフォームの移行: WeChat/RED(小紅書)から、台湾のメイン戦場であるFacebook(フェイスブック)/Instagram(インスタグラム)/Threads(スレッズ)/LINE(ライン)への切り替え。
③KOL/KOCの属性変更: 「爆買い」狙いの派手な投稿から、台湾人が好む「体験の深掘り・ストーリー性」重視のクリエイティブへ。
4.【業界別】台湾シフト成功の具体アクションプラン

業界別台湾シフト成功に導く5つのアクションプラン
① 鉄道・交通インフラ: 「移動」を「旅の目的」へ変える
台湾人はリピーターが多いため、主要都市以外の「地方路線」や「観光列車」への関心が非常に高いのが特徴です。
プラン1:フリーパスの「モデルコース型」プロモーション 単に「お得な切符」として紹介するのではなく、そのパスを使って行けるSNS映えスポットやグルメを組み合わせた「3泊4日完全攻略ルート」を繁体字で発信し、検討層の検索(SEO)を狙います。
プラン2:事前予約・決済のデジタル化とOTA連携 中国のWeChat Pay等に割いていたリソースを、台湾で普及している「KKday」「Klook」といった海外OTA(オンライン旅行代理店)でのチケット販売と、そこでの特集記事掲載へシフトします。
プラン3:Threadsを活用した「リアルタイム運行・混雑情報」の発信 台湾で爆発的に普及しているThreads(スレッズ)で、現地の紅葉や桜の開花状況、列車の空席情報を「中の人」感覚で発信し、親近感を醸成します。小編(シャオビェン、企業のSNS担当者)風に。
👉 [鉄道会社向けの具体的なアクションプラン]
中国から台湾へ!訪日台湾人を地方へ呼び込む戦略と成功事例(2月末頃公開)
② 百貨店・ショッピングモール: 「モノ売り」から「ワクワク体験」へ
台湾人は「限定品」や「日本でしか買えない高品質なもの」を好みます。
プラン1:台湾向け「モバイルクーポン」の公式LINE配布 中国の銀聯キャンペーン予算を、台湾人の8割以上が利用する「LINE」での友だち登録+クーポン配布に充当。来店導線を確実に作ります。
プラン2:インフルエンサーによる「店舗周辺を含めた」Vlog制作 店内紹介だけでなく、近くの神社やカフェと組み合わせた「そのエリア1日満喫プラン」を台湾人KOLに依頼。YouTubeやInstagramのリール動画で、滞在時間を延ばす施策を展開します。
プラン3:繁体字による「トレンド・ランキング」の店頭掲示 「今、日本人に売れています」といった信頼性の高いランキングを繁体字で掲出。SNSで話題の「新定番お土産」を特設コーナー化し、ついで買いを誘発します。
👉 [百貨店・モール向けの具体的なアクションプラン]
台湾人が「わざわざ足を運ぶ」商業施設になるためのSNS活用術(2月末頃公開)
③ 小売店(ドラッグストア・化粧品・特産品店): 「日常の信頼」を「リピート購入」へ
台湾人は「日本でしか買えない最新コスメ」や「家族・友人へ配るための質の高いお土産」を熱心に探します。
プラン1:繁体字による「効能・成分・ランキング」の徹底解説。中国客向けの「大量購入」訴求から、台湾客が重視する「なぜこれが良いのか」という納得感へシフト。店頭POPやSNSで、繁体字を使って成分のこだわりや日本での人気順位を詳しく説明し、指名買いを誘発します。
プラン2:Googleマップの繁体字口コミ対策と「現在地」広告。台湾人は店選びにGoogleマップの口コミを多用します。中国向けマップアプリに割いていたリソースを、Googleマップ上の繁体字情報の充実と、店舗周辺にいる訪日客に絞ったSNS広告(ジオターゲティング)へ振り替えます。
プラン3:公式LINEを活用した「再来店・越境EC」への誘導。一度来店したお客様に公式LINEを登録してもらい、帰国後も新商品の情報を繁体字で配信。リピート訪日時の来店を促すだけでなく、自社の越境ECサイトへ繋げることで、旅のあとも収益を生む構造を作ります。
👉 小売店(化粧品・お土産等)の具体的なアクションプラン:
「日常の信頼」を「リピート購入」へ(2月初旬公開)
④ ホテル・宿泊施設: 「宿泊」を「地域文化の特別体験」へ
中国の団体客向けプランから、台湾のFIT(個人旅行)客が好む「パーソナライズされた体験」へシフトします。
プラン1:自社サイト(繁体字版)の直販比率向上施策 中国向けOTAの在庫を絞り、自社サイトの繁体字対応を強化。台湾で主流の決済(クレジットカード、Apple Pay等)をスムーズにし、「公式予約限定の地酒・特典付プラン」で利益率を高めます。
プラン2:Facebookコミュニティでの「女将・スタッフの顔が見える」発信 台湾人は「人」との繋がりを重視します。スタッフによる周辺の穴場スポット紹介など、広告感のない温かい発信でファン(リピーター)を作ります。
プラン3:連泊を促す「鉄道・周辺施設タイアップ」プラン 鉄道会社や近隣施設と連携し、宿泊者限定の体験(酒蔵見学、限定乗車券など)をパッケージ化。中国客の1泊移動型から、台湾客の「のんびり連泊型」へ転換を促します。
👉 [ホテル・宿泊向けの具体的なアクションプラン]
脱・OTA依存!台湾人リピーターを直接獲得するための「自社発信」と「体験型プラン」の作り方(3月上旬公開)
⑤ エンタメ・レジャー施設: 「見る」から「参加する・撮る」へ
台湾人は、SNSでのシェアを前提とした「フォトジェニックな体験」に投資します。
プラン1:台湾メディア・ブロガー向けの「プレス発表会」の現地開催 中国向けのB2B営業予算を、台北でのメディア・ブロガー向け説明会にシフト。現地メディアに「今、日本で話題の新スポット」として露出させ、初速を作ります。
プラン2:AR/デジタル技術を活用した「多言語ガイダンス」の導入 中国語の有人ガイドを、自身のスマホで体験できる繁体字対応の音声・映像ガイド(QRコード式)に置き換え、少人数グループでも深く楽しめる環境を整えます。
👉 [エンタメ・レジャー向けの具体的なアクションプラン]
台湾でバズる仕掛けとは?入園者数を伸ばすインフルエンサー活用とメディアPRの極意(3月上旬公開)
5.失敗しないための「台湾マーケティング」3つの注意点
「十把一絡げ」にしない: 中国と台湾は文化も消費行動も全く異なることを理解する。
スピード感の違い: 台湾のトレンド(特にSNS)は極めて速い。代理店とのリアルタイムな連携が不可欠。
カスタマー対応の準備: 繁体字での問い合わせ対応体制、または自動応答ツールの整備。
6.結論:リスクをチャンスに変える、戦略的な「台湾シフト」を
「2026年のインバウンド需要を、確実に取り込むために」 台湾市場へのシフトは、早ければ早いほど先行利益を得られます。既存の予算を最大限に活かし、安定した集客基盤を構築するための戦略立案をサポートいたします。貴社の課題に合わせたオンライン相談(無料・30分)も受付中です。
【次の一歩をサポートします】
弊社の「台湾シフト無料診断」では、貴社の既存素材や予算をどう転用できるか具体的にアドバイスします。