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台湾最大の旅行展「ITF台北國際旅展」が、11月1日から4日まで台北南港展覧館で開催されました。
今年は前日に台風が直撃し、開催が危ぶまれましたが、無事に予定通り実施されました。
総入場者数は36万人に達し、コロナ禍を経た2022年以降、2023年、2024年と着実に増加していることが伺えます。
そもそもITFとはどのようなイベントなのか
「ITF台北國際旅展」は、台湾観光協会が主催し、毎年台北南港展覧館で開催される台湾最大級の旅行展イベントです。
1987年にスタートしたこのイベントは、今年で32回目の開催となりました。
会場では、台湾国内外の旅行先、ホテル、レストラン、観光体験、さらにはお土産に関する情報を直接得ることができます。また、限定割引パッケージや早期予約特典も提供されており、来場者はお得な価格で旅行計画を立てることが可能です。
さらに、イベント期間中は多彩な参加型アクティビティも実施されます。各国の文化や特産品を紹介するパフォーマンス、現地グルメの試食、特産品の展示など、来場者は旅行先の魅力を五感で体験することができます。
今年は、111の国と地域から1500を超えるブースが出展しました。特に1階の海外エリアでは、日本のブース(日本館)が全体の約4分の1を占めており、日本旅行への高い需要が感じられました。
今年も多くの人で賑わった日本館
【東京一番街】
東京一番街のブースでは、さまざまなイベントが開催されていました。東京一番街で利用できるクーポンの配布や商品の試食、中国語表記の東京一番街地図を数量限定で提供するなど、多くの来場者が楽しめる内容が揃っていました。
中でも特に目立っていたのは、ファンマーケティングを活用したイベントです。台湾でも今爆発的に大人気のキャラクター「ちいかわ」のぬいぐるみや被り物と一緒に写真を撮り、その写真をFacebookにシェアすると、東京一番街で販売されている「シュガーバターの木」をプレゼントとして受け取れるというものでした。このイベントは多くの注目を集め、ブース前には大勢の来場者が詰めかけていました。このような企画により、東京一番街の認知度向上と集客につながる効果が期待できます。
また、ブース内の壁面には、12月から発売予定の「東京ばな奈×コアラのマーチ」の宣伝が大きく掲示されていました。そのほか、東京一番街内にある「東京ラーメンストリート」「東京キャラクターストリート」「東京おかしランド」の写真も大きく展示されており、来場者に各スポットの魅力を伝えていました。
【北海道自治体ブース】
台湾では見られない自然やウィンタースポーツがある北海道は台湾でも大人気な観光地です。北海道の自治体では、北海道をイメージしたデザインが施された半被を着用し、全面的に北海道らしさをアピール。
展示会ではパンフレットを配布し、北海道のウィンタースポーツから観光地、ご当地グルメなどを体験できる旅行プランを紹介。多くの消費者で押し寄せていました。
パンフレット配布の他、クイズ方式を用いて、北海道の魅力を紹介する特典付きの参加型イベントを実施。インスタグラムやフェイスブックの公式アカウントをフォローすると、北海道自治体のマスコットキャラクター「キュンちゃん」のステッカーがもらえるなど、パンフレットの配布だけでなく多くのイベントで賑わっていました。
【札幌市ブース】
日本館の札幌市ブースは、展示会限定の30%オフで購入できるイベント体験やツアーなどを紹介したパンフレットを配布。パンフレットではどれも「どんな体験か」「どれだけお得か」という情報が目立つように配置されていました。その他にインスタグラムやフェイスブックの公式アカウントをフォローで、台湾でも知名度のある白い恋人を配布し、様々な方面から札幌市のPRを図っていました。
【阪神グループ】
阪神グループのブースでは甲子園歴史館、日楽座、六甲山スノーパークなどの紹介や宣伝を行っていました。甲子園歴史館の入場券を購入した方に、数量限定の阪神タイガースのオリジナルユニフォームなどを贈呈したり、今後実際に甲子園歴史館へ訪れた方に、さらにオリジナルキャップを贈呈する施策で、集客数拡大に取り組んでいました。
多くの人で賑わっていた台湾国内、旅行会社ブース
「ITF台北國際旅展」では、海外ブースだけでなく、台湾国内の観光地や特産品を紹介する国内ブースも充実しています。台北、台中、台南、高雄といった主要都市から、澎湖や金門などの離島地域まで、各地の観光局や地元企業が出展し、それぞれの地域の魅力やおすすめスポット、季節限定の観光プランを詳しく紹介していました。
また、台湾国内のホテルやリゾート施設も多数参加し、地域の特色を活かした宿泊プランや特別体験を提案していました。各ホテルではITF限定の割引商品やクーポン付きプランを提供しており、人気商品を求める来場者で長い列ができるほどの賑わいを見せていました。
例えば、日系ホテル「オークラプレステージ台北」では、エリート客室の平日宿泊券(朝食なし)がNTD17,250からNTD6,299へと64%割引で販売されました。また、ホテル内レストランの割引チケットも100名限定で販売され、多くの注目を集めていました。
入り口付近にブースを構えていた「漢來大飯店」では、サンリオとのコラボレーションルームが59%割引の5,988元で提供され、人気を博しました。同じく入り口近くの「hotel royal 老爺酒店集團」のブースでも、ITF限定のクーポンや商品が販売され、入場開始から少し時間が経っても行列が途切れることがありませんでした。
可樂旅遊(コーラツアー)のブースでは、世界各地の旅行商品が販売されており、旅行展限定価格の商品も多数用意されていたため、多くの来場者で賑わっていました。
特に注目を集めたのは、毎年大人気の「ユニバーサルスタジオジャパンのチケット1枚購入で1枚無料」の特別企画です。このプロモーションは、イベント開催期間中の4日間、可樂旅遊のステージで数量限定で販売されました。
さらに、阪急交通社の破格ツアー商品を先着5組限定で販売するイベントも行われました。加えて、この旅行展限定で20%割引が適用された4つのツアー商品が販売されるなど、魅力的な特典が多数提供されていました。
また、台湾人に大人気の観光地「白川郷の合掌造り」を含む冬限定の「日本北陸5日間ツアー」も目玉商品として登場。このツアーは、旅行展限定の特別価格28,888元から販売され、多くの注目を集めました。
各ブースの集客策、台湾人に合わせた参加型イベントも実施
展示会では各ブースごとに、集客策として様々な仕掛けが見られました。例えば地方自治団体の観光ブースでは、実際にVRを利用して消費者に観光地の景色を体験してもらうサービスや、クイズ方式を用いて観光地の紹介や特典の配布を実施。台湾人消費者の趣向に合わせた参加型イベントが多く見られました。こういった手法で配布されるアメニティー目当てに参加するお客さんも少なくなく、賑やかしの常套手段とされています。
多くの消費者で賑わっていた可樂旅遊(コーラツアー)は、台湾でも大人気な日本のアニメキャラクターと写真撮影ができるフォトブースを設置していました。
LINE Payは、目を引く巨大なルーレットを設置し、携帯ストラップや旅行グッズなどを進呈。初日から、ルーレットの特典が在庫切れにより配布終了になるなど大盛況でした。ほかにも、旅行博内での買い物の際に使えるLine Payのクーポンを配布したり、航空券やホテル宿泊券など購入へのきっかけ作りと、Line Payの普及に取り組んでいました。
航空会社のブースでは、飛行機の座席を体験できたり、CAさんと写真を撮れる施策が行われていました。さらにスターラックスは、ITFに合わせて「初めて台北桃園‐神戸線に就航した」というニュースを発表。これからまだまだ日本旅行の市場が高まっていきそうです。ほかにもエバー航空では、サンリオとコラボしていました。サンリオのキャラクターをラッピングした機体を近日発表し、ファンの利用を促しています。台湾ではサンリオはとても人気で、多くの企業とコラボをしています。
驚いた集客の施策~UFOキャッチャーを体験~
ここからは実際にITFに潜入してみて、少し驚いた集客の施策を紹介しようと思います。
まずは、アニメイトやGIGO、ビックカメラなどが共同して出展していた東京都豊島区のブース、ここはUFOキャッチャーを設置していました。非常に目を引く看板である以外に、実際にUFOキャッチャーが体験できるキャンペーンを行っていました。コロナ禍以降、台湾ではUFOキャッチャー店が急増しており、台湾人の興味に合致している施策です。
次にここはトルコの駐台湾オフィス(大使館に相当)ブースで、ハッシュタグをつけてIGのストーリーで投稿したりすると、アイスがもらえるといったPRをしていました。
旅行博では、ポストカードやキーホルダー、お菓子など、小物を配布するのが主流ですが、ここはアイスを配っていたのでとてもトルコらしくて斬新でした。多くの人がアイスを食べるために列をなしていました。
everrichのブースにはなんと台湾のチアガールの人たちがパフォーマンスを披露。everrichとは台湾最大の免税店グループで、台湾に来たことのある方は空港で一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。パフォーマンスイベントでは多くのファンの方が集まり、大いに盛り上がっていました。
韓国ブースでも11/2には、味全ドラゴンズで大人気の韓国籍チアガール、イ・ダヘ(李多慧)がゲストとして登場し、盛り上げていました。台湾のチアガールは、日本のアイドルに匹敵する人気で、賑やかしとしては欠かせない手法の一つです。
今回の旅行展では、多くのブースがインフルエンサーを招待し、ステージでトークショーを行うなどのインフルエンサー施策を実施していました。
実際にタイ観光局のステージでは、旅行タレント・ブロガーの艾瑞克/Ericさんが登壇し、タイのエコツーリズムや地域体験、さまざまな旅行についてのトークをしていました。
Ericさんはタレント活動だけでなく、インフルエンサーとして発信もしており、フェイスブックやインスタグラムを通じて世界の旅行情報を発信しています。
以前、カケハシが運用している台北経済新聞にて、インタビューさせていただいたこともあります。
インタビュー記事はこちら↓
『日本インバウンドKOL、俳優、旅行作家などさまざまな顔を持つマルチタレントEric(艾瑞克)さん』
日本旅行への関心は依然高いまま 円安も貢献
今年も多くの旅行会社、ホテル、航空会社が出展し、各々の方法で特典やサービスを提供していました。会場内には個人客が多いですが、来場者の大半はITF限定で販売される格安の海外・国内ツアーや、ホテル宿泊と航空券がパックになったプランなどが目当てです。
ITFの発表によると、4日間の累計売上が1億元(4.7億円に相当)を突破した可樂旅遊(コーラツアー)は、コロナ禍以降過去最多の2千組以上のお得なプランを取り扱いました。特典別でみると、台湾ではお馴染みの商品購入で一つ無料になる、買一送一(マイイーソンイー)を利用した日本旅行ツアーやアジア旅行のほか、ユニバーサルスタジオジャパンやスカイツリーの体験プランなど、コト消費の特典も多く見られました。
旅行各社の日本行きのツアーをみると、例えば台湾でも高い人気を誇る北海道は4泊5日のツアーで3万〜5万元、東京エリアの東京ディズニーリゾート付きプランは1万元から売られていました。また、二人一組での日本旅行ツアー購入で最大8千元割引になる特典などもありました。
円安の貢献もあり、多くの台湾人が日本旅行へのモチベーションが向上しています。台湾消費者の日本旅行への人気は依然高いと言えるでしょう。
日本クライアントの出展、話題醸成、ウェブマーケティング施策のサポートも
今回カケハシは日本からITF出展のため訪台した、平素より弊社ウェブマーケティング施策のサービスをご利用いただいている、某地方自治体と某商業施設のお手伝いをさせていただきました。クライアントに代わり弊社スタッフがステージに登壇して観光地の紹介したり、ブースでの呼び込みやパンフレット配布のほか、提携したYouTuberを招聘したステージパフォーマンスの手配などを引き受けました。当日ステージは多くの消費者で賑わっていました。
またフェイスブックなどSNSを活用した周知拡大で、出展前からの話題醸成をサポートさせていただいたほか、イベント期間中には弊社が運営する月間PV数2万〜3万のニュースメディア「台北経済新聞」で、特別に取材・報道をさせていただきました。
弊社ではブース設営・運営のサポートから、SNSやウェブメディアを活用した周知拡大など柔軟に対応可能です。
カケハシがお手伝いできること
・SNSを活用し、アクティブユーザーを巻き込んだ出展情報の拡散
・有力ウェブメディアへの記事広告出稿
・イベント期間中、KOLを起用した話題醸成
・自社ニュースメディア、台北経済新聞による取材・報道
・フライヤー、ディスプレイ、Wi-Fiルーターなど備品の手配
・ブースやバックパネルのデザイン (※応相談)
・ブース施工業者との連携、設営当日のフォロー (※応相談)
2025年の「ITF台北國際旅展」は、11月7日から10日に、同じ台北南港展覧館での開催が予定されています。
「来年のITFに出展が決まったが、プロモーションをどうしようか」「パンフレットの作成をお願いできる現地企業はないか」「日本語でアドバイスしてくれる現地企業はないか」などお困りでしたら、ぜひカケハシへお気軽にお問い合わせください。