「世界新車大全」から見る、バイク大国台湾で支持される日本車
2015年の年末から2016年始にかけて開催された台湾最大のモーターショー「世界新車大展」。
モーターショーを訪れると、まず目に入るのは広大なトヨタのブースです。
トヨタは台湾の自動車市場の28.8%の販売数を占め、シェア率NO.1を誇っています。
今回の展示会でトヨタが特に力を入れていたのは新エネルギー分野です。電気自動車、また最近開発が進んでいる水素自動車がメインに展示されていました。
台湾では近年充電スタンドが増えてインフラが整備されてきたことや、環境対策意識の高まりからエコカーの需要が高まっています。行政も自動車の排ガス規制が厳しい欧州の基準を採用し、エコカーの利用を推進しているそうです。
他のブースにはホンダ、スバル、、三菱、日産など日本を代表する自動車メーカーが多く出展し、会場のほとんどのスペースを日本車が埋め尽くしていました。
車メーカーは、二年に一度開催されている、台湾唯一にして最大規模のモーターショー「世界新車大全」以外にも、日頃からインターネットを利用したプロモーションを行っています。
台湾では台湾国内の自動車メーカーはもちろん、海外自動車メーカーもFacebookをはじめとするSNSを積極的に活用しています。
弊社も自動車メーカー含め、様々な業界のPRのお手伝いをさせてもらっていますが、SNSを活用するシーンは多いです。
ブロガーさんに実際に車を試乗体験してもらうなど、台湾らしいプロモーションも行われています。
台湾では日本車が市場シェアの71%を占めていますこれほどまでに日本車が台湾で人気を集めている背景には、台湾での日本車に対する高品質、低燃費なイメージだけではなく、台湾社会や消費行動の特徴が深く関わっています。
2017年に台湾車情報サイトU-CARが発表した、車種別売上ランキングTOP10によると、5位を除いたすべてが日本車でした。この結果からも台湾において、日本車がどれほど人気なのかが分かりますね。
ある年の台湾の自動車販売台数は約44.5万台、同年の日本の販売台数が約523.4万台でした。そのため人口1000人あたり、台湾は約19人が、日本は約41人が車を購入したということになります。日本の販売台数が台湾より約2倍多いという結果になりました。
次に自動車の世帯普及率を見てみましょう。
台湾の自動車世帯普及率は、ここ10年58%程度に安定し成熟市場になっています。(日本の世帯普及率は85.5%)その要因としては台北の中心部では駐車場の価格が上昇していること、都市部でMRT(台湾の地下鉄)の利用率が高いこと、バイクが日常の必需品になっていることなどが挙げられます。
世界一のバイク大国の異名を取る台湾。ある年のデータでは2位であるマレーシアを35万台多く上回りました。
ただ自動車は市民にとっては重要な交通手段の一つで、通勤、休日のレジャーやデート、子供の送迎などに広く使われています。
台湾では日本と同様に中間層が多い社会です。富裕層は自動車を購入する際にはブランドイメージを重視する一方、中間層は価格要因や実用性を重視します。
また家庭のお金に関しては女性がコントロールしていることが多く、女性の好みが優先されています。女性は男性に比べて派手な高級車よりも価格の安さや燃費を重視する傾向にあります。
中間層が多く、加えて女性の好みが優先される社会、日本車が持つ高品質なイメージが日本車の人気を押し上げているのですね。