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中国から台湾へ。インバウンド予算シフトの進め方
訪日台湾人のリピーター率は84%、消費額は1兆2,110億円と過去最高を更新しました。しかし「親日だから」「日本ブランドだから」という理由だけで商品が売れる時代は、すでに終わっています。台湾人観光客は旅の前から徹底的にリサーチし、根拠を持って選び、納得してから買う——非常に合理的な消費者です。本記事では、データが示す購買行動の構造を読み解き、「旅中の購入」を「旅アトのリピート収益」へと転換する3つの実践プランをご紹介します。
台湾インバウンド消費の実態:3つの数字が示す構造
出典:We TAIWAN「台湾人観光客が日本で「買うもの」と「買わないもの」──データで見える”設計のズレ”」 / 株式会社Payke プレスリリース https://www.payke.co.jp/news/20250325
1人あたりの旅行支出は約18.8万円。そのうち約36%(約6.8万円)が買い物に使われています。なかでもドラッグストアは訪日外国人の97.4%が訪れ、滞在中に週2回以上来店する方が約8割(78.7%)にのぼります。もはやドラッグストアは「旅の必須ルーティン」として定着しています。以下のデータダッシュボードで、国別の購買行動の違いを詳しくご確認ください。
「計画買い」vs「衝動買い」──国別購買パターンの構造的違い
インバウンド対策を一括りに考えてしまうことが、施策が空振りに終わる最大の原因です。同じドラッグストアでも、国によって「なぜ来るのか」「何を買うのか」「どう決めるのか」は根本的に異なります。
中国
「小紅書(RED)」「WeChat」での口コミを強く参考にし、事前購入リストを作成してから来店します。サプリメント・医薬品・ベビー用品への関心が高い傾向があります。
韓国
美容・スキンケアへの関心が突出しています。「自分用(26.1%)」「自国より安い(23.0%)」が主な購入動機で、事前決定率は83.2%と高水準です。
台湾 事前決定率87%
菓子類(購入率77.9%)・医薬品・コスメが人気です。「台湾より安い(25.1%)」という価格差と、職場や友人への伴手禮(お土産)としての実用性を重視する傾向があります。事前決定率は調査国中最高の87.0%です。
香港
日本の医薬品品質への信頼が非常に高く、台湾と同じ繁体字圏として事前計画率が高い傾向があります。価格差を重視して購入を決める方が多いのも特徴です。
欧米(英語圏)
「日本でしか買えない(26.1%)」「家族・友人へのお土産」を重視します。事前決定率は60.6%と低く、店頭で直感的に選ぶ衝動買い傾向が強い国・地域です。
構造的洞察
欧米のお客様が「発見する買い物」を楽しむのに対し、台湾のお客様は「確認する買い物」をします。旅の前にSNSで商品情報を収集し、来店時にはすでに購入意思が固まっているのです。台湾客に必要なのは「販売トーク」ではなく、「答え合わせができる場の提供」です。
台湾客を「旅アトリピーター」へ転換する3つのプラン
PLAN 01
繁体字POP × 日本語併記で「指名買い」を誘発する
台湾のお客様は「理解してから買う(納得→購入)」という購買文化を持っています。接客なしでも商品の魅力を瞬時に伝えられるPOPの質が、売上を大きく左右します。
参考:note「【台湾進出基礎ガイド:Day15】台湾で売れるPOP(説明カード)のつくり方」
効果的なPOPに組み込む4つの要素
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最重要:全て繁体字に翻訳してはいけません
「日本語 × 繁体字」の併記が正解です。日本語テキストを残すことで「日本国内で流通している本物」という本場感と信頼感を担保しつつ、繁体字で機能と価値を論理的に理解していただけます。SNSで事前リサーチしてきた日本語パッケージと店頭で「答え合わせ」ができることで、迷いのない指名買いへと自然につながります。

施策のイメージを可視化するため、AIで生成したイメージ画像を使用しています。
PLAN 02
Googleマップ多言語最適化 × SNS事前導線で「来店前から勝つ」
台湾客の87.0%は来店前に購入商品を決定しており、その情報収集の約58%がオンライン(オンラインレビュー30.3% + SNS投稿27.5%)に依存しています。勝負は来店した瞬間ではなく、旅の計画段階からすでに始まっています。
Googleビジネスプロフィール(GBP)の多言語最適化
店舗名に英語・繁体字表記を追加し、人気商品の写真を定期的に更新しましょう。繁体字での口コミ返信も、台湾客からの信頼度を着実に引き上げます。台湾客が最も活用する「Googleマップ検索」の起点を押さえることが、集客の第一歩です。
Instagram・Threadsでの事前リサーチ層への訴求
台湾向けSNSで「日本でしか買えない理由」「台湾の日常での使い方」を繁体字で継続発信してください。旅前にリサーチしている層へ刺さるコンテンツが、店舗への来店導線を自然に作り上げます。
PLAN 03
公式LINE × 越境ECで「旅アトの継続収益」を設計する
訪日経験のある台湾人の83%が越境ECを利用しています。リピーター率84%と組み合わせると、旅行中の1回の購入体験を「長期的な収益の起点」として設計できることがわかります。
出典:We TAIWAN「台湾人観光客が日本で「買うもの」と「買わないもの」──データで見える”設計のズレ”」
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旅アト収益化の本質
インバウンド消費を「一過性の売上」で終わらせないことが重要です。店頭での一回の購入体験を起点に、越境ECでの継続購入へとつなげる仕組みを設計すること。それがインバウンドビジネスにおける、本当の競争優位となります。

施策のイメージを可視化するため、AIで生成したイメージ画像を使用しています。
まとめ:台湾客は「設計された購買体験」を選びます
台湾人観光客は、事前にリサーチし、根拠を持って選び、納得してから買います。この「計画購買型」の消費者に響くのは、偶然の出会いを期待する店舗設計ではありません。旅の計画段階からリピート購入まで、一貫した購買体験を設計した店舗だけが、台湾客に選ばれ続けます。