急成長する台湾ポッドキャスト市場とインフルエンサー提携の可能性、広告参入する日本企業が少ない

台湾の広告プロモーション 台湾市場に関して

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台湾ポッドキャスト市場とインフルエンサー提携の可能性

~日本企業が狙うべき新たなマーケティング手法~

台湾ポッドキャスト市場急成長 台湾人の3人に1人が視聴

台湾ではポッドキャスト市場が急速に拡大しており、それに伴ってポッドキャスター(パーソナリティ)が番組内で企業案件による広告をしている例が増えています。動画コンテンツと比べ、ポッドキャスターはリスナーからの信頼性を得られやすく、商品購買につながりやすいというデータも出ています。台湾のポッドキャストに広告を出稿している日本企業は少なく、競合と差を付けるいい機会かもしれません。

SoundOnの「2024年度聲音經濟報告書」によれば、2020年には定期的に更新しているアクティブな番組数が3,000を突破、2024年には4,000を超える規模となりました。
リスナー数は660万人(台湾人口の約28%に相当) に達し、男女比は 男性47%:女性53%。特に 28〜44歳の社会人層が65%以上 を占め、消費意欲の高い現役世代が中心です。

台湾における2021~24年のアクティブなポッドキャスト番組数 SoundOnの「2024年度聲音經濟報告書」より

男女比率はほぼ同じ。社会人世代が多く利用している SoundOnの「2024年度聲音經濟報告書」より

視聴者は中〜高所得層で、学びや知識を得られるコンテンツへの関心が高いのが特徴です。その点でいうと日本と傾向が似ています。台湾で人気ジャンルは以下の通りです:

1.ビジネス
2.社会とカルチャー
3.ニュース
4.教育

つまり、台湾でポッドキャストは「情報収集メディア」として活用されており、ビジネス関連や教育的な内容との親和性が強いことがわかります。

利用者の34%が1日1時間以上を視聴

臺灣文化內容消費趨勢調査によれば、台湾のポッドキャスト利用は以下の傾向があります:

再生時間
34%が「毎日1時間以上」ポッドキャストを聴取。スマホ普及により“ながら聴き”が浸透。

プラットフォームのシェア率(2023年)
YouTube/YouTube Music 41%
Spotify 39%
Apple Podcast 29%
KKBOX 22%
Google Podcast 14%

ポッドキャストを毎日1時間視聴する人が多く、YouTubeとSpotifyを多く使用している 臺灣文化內容消費趨勢調査より

購買行動への影響
32%のリスナーが「過去1年以内にポッドキャストで紹介された商品を購入した」と回答。※広告案件によるタイアップ紹介、共同購入、ポッドキャスターが販売するサービスのほか、非広告案件での純粋なおすすめも含む。

他のSNSと異なり、アルゴリズムによる一方的な配信だけではなく、ユーザーが自ら番組を選んで聴くため、 参加意識が高く、広告到達率が高い のも特徴です。加えて、音声広告はスキップされにくく、最後まで聴かれる傾向が強いため、ブランドへの信頼を築きやすいチャネルといえます。

読み上げ型広告やプロダクトプレイスメントの信頼性が高い

企業が利用する主な広告手法とシェアは以下の通りです(SoundOn 2024年度聲音經濟報告書より):

アドネットワーク(動態廣告、42.49%)…番組内の広告挿入箇所に広告を配置するアドネットワーク。精密なターゲティングが可能な配信型広告

コラボ回を製作(委製節目、15.72%)…企業タイアップによる商品のためのコラボ回を制作

読み上げ型広告(口播廣告、15.54%)…ポッドキャスターによる読み上げ型広告。冒頭部分(プレロール)や中間(ミッドロール)が人気で費用も高め

インタビュー形式(專訪合作、13.90%)…インタビュー形式での深掘り紹介

プロダクトプレイスメント(業配置入、8.30%)…番組内のいちコーナーとして自然な対話の中で商品を紹介する

カスタマイズ(客製化廣告、4.06%)…カスタマーの要望に応じて、プラットフォームやオフラインと横断的に実施したりする新しい形の柔軟な広告

広告を出稿する業態は幅広く、VPNサービスや目薬、アパレル、食品なども導入しています。ある台湾の人気チャンネルの相場は読み上げ型広告が2週分で約9万元(約45万円、1元=5円)、4週分で約16万元(約80万円、1元=5円)。また、プロダクトプレイスメント形式では1回18万元前後(約90万円、1元=5円)などもあり高額ですが、ポッドキャスターとしての影響力を活かし、購買に直結するケースが多く見られます。

台湾の人気ポッドキャスト番組

例えばどんな人気のポッドキャスト番組があるのでしょうか

敏迪選讀 (MINDI WORLD NEWS)…毎回4〜6万UU、初週10万を突破。主要リスナーは23〜34歳。

Apple podcastのニュース部門で3位にランクイン

敏迪選讀は、注目されている国際ニュースを深堀りして届けており、台湾現地メディアではカバーしていない範囲や、個人の解釈を混じえて分かりやすく解説する情報付加価値の高い番組です。過去、台湾の蔡英文元総統や、現職の頼清徳総統を独占インタビューした実績があったりと非常に実力あるメディア人です。リスナーからの信頼が厚く、彼女の紹介する商品なら安心できると思わせるカリスマがあります。ポッドキャスターはよく訪日しておりそのエピソードをシェアしているほか、スキーが趣味で番組内で蔵王のスキー場と提携していた例もあり、日本インバウンド事業とも相性は良い。

 

台灣通勤第一品牌 …毎回10〜12万人が視聴、男性6割・28〜34歳中心。

Apple podcastの社会とカルチャー部門で6位

台灣通勤第一品牌は「台湾での通勤時の第一ブランド」と銘打ち、まさに通勤時に聞かれることを想定して、カジュアルでリラックスした語り口が持ち味の番組です。メンバー個人の経験を混じえて日常に起こった出来事をシェアしあうのですが、お笑い芸人並のトーク力で人気を博し、20〜30代からも厚いを支持を集めます。広告手法としては番組冒頭に商材に応じて、個人エピソードを語り、自然に商材の魅力を発信する形式が得意で、広告だと分かりながらも、抵抗感の薄いプレゼンが得意です。企業案件は、観光牧場や、父の日に合わせたコーヒーマシン、ほかにも有名高価格帯のスポーツアパレルブランドと多岐にわたります。メンバー自身よく日本旅行にも行っており、日本商材と絡めたPRも相性がいいです。

いずれも高い完聴率とロイヤリティを誇り、広告主にとって魅力的なターゲットです。
他にも、2024年度の総合人気ポッドキャスト番組ランキングは以下があります。

好味小姐開束縛我還你原形(生活・トーク)

Gooaye 股癌(商業・投資)

呱吉(社会・時事)

蔡阿嘎543(エンタメ・生活)

瘋女人聊天室(文化・エンタメ)

※SoundOnの「2024年度聲音經濟報告書」より

日本企業の広告出稿少なく、先んじるチャンス

台湾のポッドキャスト広告は、YouTubeやInstagramに比べて競争が少なく、新しいオーディエンス接触チャネルとして注目されています。さらに、台湾のポッドキャスト市場は拡大期にあり、知識や情報を求めるリスナーが中心のため、BtoCだけでなくBtoB商材にも親和性が高いチャネルです。まだ日本企業の参入が少ない今こそ、競合から離れた効果的なマーケティングを展開できるチャンスといえるでしょう。

・高所得層・情報感度の高い層にリーチ可能

・ファンの信頼度が高く、過去回を遡って聞くリスナーもいて広告効果が持続

・商品やサービスの特性を深掘りできるストーリーテリングに強み

・費用は比較的高めだが、相性が良ければ高いコンバージョン率と広い認知拡大が期待

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