カケハシとジャパンスタイルの融合で時代と共に

今回はインターンプロジェクト第3弾カケハシ正社員スタッフへの突撃インタビューを行いました。初回はカケハシでデザイナーとして様々な仕事に携わっているKouさんにお話を伺いました。私も普段からKouさんと一緒にお仕事をしていますが、日本語も上手すぎるため台湾人であることを忘れてしまうことがあるほどです。(笑)日本で10年ほど働かれていたKouさんは、なぜ日本語を勉強しようと思ったのか、日本でどのような仕事をされていたのか、なぜカケハシで働くことになったのか…いつもは聞けないようなことを聞いてみました。

カケハシって一体どんな人が働いているのか、どんな会社なのかが少しでも伝われば幸いです、ぜひご覧になってください。

 

“アジアの最先端”の日本で勉強したい

―― 日本で10年以上暮らしていたと伺ったのですが、日本で生活するにあたってのきっかけを教えてもらえますか?

元々大学3年生の時に交換留学で日本の姉妹校の大学に編入したため、1年間日本での留学経験があります。4年生で台湾に戻ってきて台湾の大学を卒業したんですけど、その時に「なんか物足りないかも」と思ったのが日本で生活する1つのきっかけでした。言葉は1つのツールとして考えていて、それにプラスアルファが加わればもっと自分の可能性が広がりそうだなぁって。

―― なぜ日本語を勉強し始めたのでしょうか?

通っていた高校が、土曜日の半日授業の時だけ私服OKだったんです。それをきっかけにファッションに興味を持ち始めるようになりました。当時台湾にはメンズ向けのファッション雑誌がなく、唯一あるのは日本から直輸入されたファッション雑誌でした。写真や内容もとても充実しており、本屋に立ち寄っては立ち読みをしていました。日本のほうが男性のファッションに対する美意識が高く、個性があって、いろいろなジャンルがあるのが魅力的でした。その頃は日本語が全く分からなかったので写真を見て楽しんでいたのですが、次第に何と書いてあるのかが気になり、それから日本語の勉強し始めました。

―― 大学を卒業されたあとはどのような進路に進まれたのですか?

卒業後は兵役を終わらせてから、日本のグラフィックデザインの専門学校に入学しました。
ファッションが好きだったのもあって、元々デザインについても興味がありました。台湾にもデザイン学校はあるんですが、台湾で勉強するよりも日本語を活かしてデザインの勉強ができたらなあと思って。そう思ったのも、日本のほうが「アジアの最先端」というイメージがあったからなんです。服飾専門学校に行くか、パソコンを使ってグラフィックデザインをするかかなり迷ってはいたんです。その二つの選択肢の中で、グラフィックデザインは洋服そのものだけではなく、その周りの販促ツールまで制作できるのが魅力的だったのでグラフィックデザインの学校に行くことを決めました。

 

学んだジャパンスタイルを日本で活かす

―― 専門学校を卒業された後に日本で就職されるわけですが、なぜ台湾で就職なさらずに日本で就職されることにされたのでしょうか?

台湾の電車には日本のような中刷り広告があまりなくて。日本だと駅にいるだけでいろいろな広告を目に触れることができますが、台湾はそれが少ない。しかも日本は広告の回転がとても速いことが私の中で驚いたポイントでして、そのことからも広告の需要の高さを日々肌で感じていました。日本で生活をすれば、毎日素晴らしいデザインを目にすることができる、その環境がとても刺激的だなと思って。そのジャパンスタイル溶け込みたいなと思ったので、日本で就活をしました。

―― 実際に日本で就職活動をされてみて、いかがでしたか?

今だと日本国内などのインバウンドも盛んになり外国人観光客集客など、中国語や外国人対応が重要視される時代にはなりましたが、その当時は全くそういうことはありませんでした。インバウンド向けの仕事は皆無で、他の日本人のライバルたち肩を並べて競う必要がありました。その中でも企業がなぜ日本人ではなく外国人を選ぶのか、その理由を考えながら、自分自身の特徴だったり、自分にしかできないことを強く意識&アピールし始めました。

質問に真摯に応えてくださいました。

―― 日本ではどのようなお仕事をされていたのですか?

日本では合計3社、年数にすると9年~10年間ほど日本で働いていました。
1社目に努めた会社では雑誌などのグラフィックデザインの仕事をしていました。
2社目は大手コンビニの本社でした。日本国内や中華圏においての食品のパッケージデザインを担当しており、パッケージに使用する素材の撮影にも携わっていました。1社目と異なり、立体物を作り上げる作業だったのでいろいろ苦労はしましたが、とても勉強になりました。
2社目で3年ほど働いた後に、転職した先が3社目のアパレルの会社になります。3社目ではウェブデザイナーとして働いていました。今まで経験のない分野だったので、独学で勉強をしながら仕事をしていました。ECサイトの運営を任されたのを皮切りに、FacebookやinstagramのようなSNSツールの運営も行っていました。とはいっても会社がSNSツールを使ってビジネスにつなげよう!などという方針ではなかったので、ちょこっと触れていた程度です。当時はFacebookやinstagramも全然浸透していなかったので、手探りで記事の内容を作成したりしていました。

 

時代と共に歩む

―― Web時代の最先端という印象を受けます。日本でインバウンド系の仕事に携われた経験はありますか?

そうですね、紙からパッケージ、パッケージから、ウェブ・ウェブツールやSNS関係とかの一体をしていたので、本当に時代と一緒に歩んできている感じではあります。4年前の中国人の爆買いブームの真っ最中だったので、その時に中華圏向けのインバウンド事業に携わりました。

―― 日本に住みつつ中華圏向けのデザインを考えるのは難しいことでしたか?

もともと生まれてからずっと台湾に住んでいたから同じ台湾人がどんなものが好きかというのはわかります。中華圏は分かりやすいデザインが好きですね。日本人はいろんなデザインが好き。少し深みがある変化球のような、ぱっと見ただけではわからないんだけど、「ああ、こうなんだ、なるほど」みたいな。ストレートじゃありません。台湾と日本の両方の感覚をもってターゲットに合わせて使い分けをしていました。

日本のアパレル会社で働いていた際のイベントでの1枚

―― 日本で長く生活をしていると、台湾に帰られたときにびっくりしたことなどが多かったのではないでしょうか?

1年に1度日本の年末年始に台湾に帰っていたんですが、その時は本当に浦島太郎状態でした。(笑)このブランドも台湾にきたんだ、台湾ではこんなものが流行っているんだなと。

 

幅広くいろいろなデザインに携わりたい

―― 台湾に帰られたきっかけがあれば教えてください。

十数年日本におり、あまり台湾の家族と一緒にいられる時間が少なかったのもあって台湾に帰ることを決めました。台湾の会社で就職した経験がなかったので、自分が日本で身に着けたスキルを台湾で活かせるかどうか正直すごく不安でした。日本と台湾の感覚の違いはもちろんですが、仕事のスタイルも全く異なるので。初心に帰って台湾でゼロからスタートをするというのを決めるのはなかなか決断のいるものでした。

―― 今まで働いていた場所から全く違う環境に行くのはとても大きな決断だと思います。では、数ある会社の中からカケハシを選んだ理由は何だったのでしょうか?

ほかの企業はメーカーさんだったり飲食店だったり、とりあえず業界が限られていたんです。でも、カケハシにはいろいろな業界のクライアントさんがいて、なおかつ一番広告と関りがあったのでそれが魅力的でしたね。私自身が幅広く様々なデザインに携わりたいという想いがあったので。デザインはもちろん、SNS運営の経験も活かせたらなと思ったのと、何よりカケハシが一番自分に合いそうだと思ったので、カケハシに決めました。

―― カケハシを始めて訪れたときの印象はいかがでしたか?

他の会社は結構黙々と作業をこなしていて、「THE・オフィス」って感じなのですが、ここは一味違っていました。オフィスがおしゃれで、職場の雰囲気もとても良かったです。インターン生がいたのは知らなかったので、こんなに若い子もいるんだと驚きました。

毎年恒例のBBQ

―― 主な業務内容を教えてください。

クライアントのホームページを始め、バナー広告だったり、一部のSNSの運営の写真撮影をしています。あとは、直接クライアントと打ち合わせしたり、その要望をヒアリングして、社内で共有して、どんな風にPRできるか相談したり。ここ最近は自分が直接クライアントと連絡して、提案することも増えてきました。実際にブロガーさん達が体験をするまでの一連の対策を練ったりと、デザインの仕事だけでなく、結構幅広い仕事に携わっています。出張でタレントやブロガーさんを連れて日本の観光地やお店のPR撮影や、こういう風にしてほしいので、こういう風にゆってくださいなど、クライアントとタレントの間に入って、通訳もしつつ現場をよりよく遂行する立場にあります。

社内での撮影の様子

 

直接クライアントの声を聞く

―― その中でもカケハシだからこそ得られたことはありますか?

日本は決まった仕事、例えばデザイナーはデザインの仕事をもくもくとこなすイメージがありまして。実際に日本で働いている際も営業をはさんでいたため、クライアントの声が直接聞こえてくることがありませんでした。でもカケハシに来てからは直接クライアントの声を聞くことができています。任されている仕事は多いですが、すごく充実しています。SNSを利用して様々な対策をした後に、クライアントから実際に「お客さんが増えてきた」などという現場の声を聞くことができるとやっぱり嬉しいし、よかったなと思います。先ほど申し上げた通り一部の案件の撮影にも携わっているのですが、投稿後すぐに投稿の反応を確認できるのは、SNSだからこそだと思います。

―― カケハシは台湾法人ですが、実際に働かれてみて、カケハシは台湾よりだと思いますか?日本よりだと思われますか?

スタイルは日本と台湾の中間ぐらいですね。もちろん仕事に対するその勤勉な部分やお客さんのために尽くす、「お客さん第一」「納期第一」という部分は日本と全く変わりません。その日本スタイルを持ちながら、台湾の職場ならではの明るさがあります。日本のように報告が何回にもわたって必要で、決済までに時間がかかるなどというタイムロスがなく、すぐ社内で情報を共有できるのは、少人数であるからこそできるカケハシの強みの一つですね。

同僚へのバースデーサプライズ

―― カケハシは台湾と日本の祝日が両方休みで、年間休日が130日あると台湾でも少しニュースとして取り上げられていたのを見ました。

そうですね。台湾にある他の日系企業もなかなか両方休むということは聞いたことがないので、たぶんカケハシだけかなと思っています。休みの間は、いろいろ旅行に行ったりしています。旅行に行くことでリフレッシュ、気分転換ができます。毎日パソコンに向かって作業をしていると、頭が固くなって発想とかにも柔軟さがなくなってくると思うんです。それを旅行に行くことによって解消でき、なおかつ仕事効率もよくなる。ただリフレッシュするだけでなく、旅先でインスピレーションを受けたことを次の仕事につなげることも可能です。割と流行りもののPRをすることが多いので、積極的に出かけたり、海外に行ったりして日々情報収集しています。

―― 最近どこか海外に行かれましたか?

今年のゴールデンウィークはシンガポールに行きました。シンガポールはすごい他民族の国で、中華圏の人がいれば、インドネシアやマレーシアの人もいて。食べ物もそうなんですが、すごくいい具合にミックスされていました。地域変われば街全体の雰囲気ががらっと変わるんです。伝統的なものもあれば最先端のテクノロジーを使ったものもあって、すごい刺激を受けました。

―― 普段のお休みの際は何をされていますか?

食べ歩きをしたり、家で日本のドラマとかバラエティ番組を見たりすることが多いです。生活の拠点は台湾なんですが、クライアントが日本の企業なので、日本で今日何が起こったかということも毎日チェックしています。カケハシは代表の秋山が日本人で、社員である私たちも直接日本に行くことがかなり多いので、商談の中での何気ない会話のためにも自分の引き出しは多く持つようにしています。あと日本のドラマを見るときはあえてCMを見るんです。CMは時代をいち早く時代を反映するツールで、15秒間の中で伝えたいことがぎゅっと詰まっているので。日本のCMのクオリティは高く、有名なものはシリーズ化されたりしていますよね。これが日々のアイデアにもつながっています。

充実した休日

 

台湾からアジアへ アジアから世界へ

―― 台湾で生活されていて、“日本を感じる瞬間”はありますか?

いろいろな会社が日本から台湾に来ており、日本の本や雑誌は、1週間もたたないうちに台湾に輸入されています。なので、本屋やドラックストアなどに行くと日本を感じますね。昨日も実は台湾にある日系の本屋に行きました。日系の本屋だということもあって、目につくものがすべて日本の本だったので日本にいるかなと錯覚しました。雑誌や文庫本のパッケージは時代や流行の鏡なので、刺激を受けることも多々あります。

―― 台湾で今はやっているものを教えてください

東北系がきてますね。台湾人が日本を訪れる際に選ばれる場所は、関東・関西・沖縄 この3つで、そのほかにも北海道・福岡が人気です。訪日台湾人は特にリピーターが多いので、次の選択肢として東北や、あとは九州の福岡以外の場所が選ばれていますね。最近も鳥取砂丘が台湾人の間で「まるで日本じゃないみたい」と話題になっていました。台湾人にとって日本は神社仏閣や伝統的な着物もあり、最新コスメやドラックストア系の商品も充実していて、それに加えて砂漠でラクダにも乗れる国。台湾の駅構内の広告や友達のSNSを見ていると、関東関西以外を訪れている人が増えてきているので、まだまだ日本に対する需要があるなと思っています。

インターン生と意見交流中

―― 台湾の人が何度も日本に訪れてくれるということはとても嬉しい情報です。日本と台湾をつなげる仕事をされているうえでこれから挑戦していきたいことはありますか?

日本の魅力を台湾の人だけでなく、アジア圏含めて香港やシンガポールにまで伝えるということに挑戦したいですね。今まで自治体さんだったり、個人のメーカーさんから色々お仕事をいただいて台湾でPRしてきました。今までのノウハウを生かして、これからはアジア全体、アジアからまた次の他の海外につなげられたらなと思います。

 

最適な提案ができる会社

―― 最後にカケハシという会社を一言で表すと、どのような会社でしょうか?

そうですね、本当に一言で表すのが難しいんですが…(笑)「最適な提案ができる会社」ですかね。カケハシは広告代理店的な動きではなく、台湾現地で根付いているマーケティング会社です。代理作業ではなく、実際にノウハウを貯めながら、内政しています。その分大変なこともありますが、日本から来ているインターン生、台湾の若い世代のリアルな声も参考にしながらアイデアに落とし込めている点が強いなと思っています。クライアントに最適な提案ができるのも、若い世代と、意見交換のしやすい代表の秋山のキャラクター、またそんな職場の雰囲気あってのものだと思います。

―― 貴重なお話ありがとうございました!

過去の経験となった、「日本人がライバルであり競争相手」それは並大抵の努力では切り開くることはできないと思います。十数年の日本での生活や、様々な経験が今のKouさんであり、今のカケハシにつながっているのではないかと思いました。仕事に対する情熱や姿勢、学ぶことが非常に多い時間でした。

カケハシスタッフへの突撃インタビュー!まだまだ続きます!
乞うご期待ください!

執筆者:インターン kanako