JETROのセミナーをレポート!日本企業と台湾企業の動向とは

対日投資
2015年の12月に弊社スタッフは台北市内で開催された、JETRO主催のセミナーに参加しました。このセミナーの目的は日本に進出する台湾企業を増やすことです。日本市場の動向や、すでに日本に進出している台湾企業の実績などを紹介していました。

今回のブログではこのセミナーの内容をもとに、近年拡大する「日本と台湾のビジネスの結びつき」について紹介します。

世界で最もビジネスがしやすい国「日本」

安倍首相がアベノミクスの中で掲げた目標の一つに、「日本を世界で一番ビジネスがしやすい国にする」というものがありました。
もともと日本が世界に誇る高い研究水準、整備された法律、治安のよさに加え、最近では法人税の減額や円安、2020年に開催される東京オリンピックの開催による追い風もあり海外から日本への投資が年々増加しています。この増加する対日投資の中でも台湾からの投資は大きな割合を占めています。

JETRO
2014年における対日投資のフローベースの額では、台湾はアメリカ、香港、シンガポールに続いて第4位の額を占めています。

日本に進出する台湾企業の動向

今回のセミナーでは日本市場にすでに進出している「ASUS」と「中国信託銀行」の方による講演会が行われました。この二社の事例を紹介しながら、日本に進出する台湾企業の動向について見ていきます。
ASUS
ASUSは台北に本社を置くPC、スマートフォン、マザーボードなどを製造するメーカーです。日本の家電量販店で見かけたことがある人も多いのではないでしょうか?ASUSは2008年から本格的に日本市場に力を入れ、現在では4社の代理店、また大手家電量販店などの9つの販売チャネルを抱えています。また、近年では日本の携帯電話のSIMフリー化に伴い、積極的に携帯電話市場に参入しています。

ASUSにとって日本市場に進出するメリットの一つに、「製品の品質管理」が挙げられています。日本は世界の中で最も高い品質が要求される市場の一つです。そのため日本の消費者に受け入れられるかどうかは、自社製品が高い品質を持っているかを知るテストになります。まさに日本法人はASUSの品質管理部門だと担当者の方は語っていました。

中国信託銀行
中国信託銀行は台湾の大手銀行です。アジアを中心に積極的に海外展開を進めています。2014年に東京スター銀行を買収したことでも知られています。また、これは外国銀行が邦銀を買収した初めてのケースになりました。

日本の金融市場は、近年アベノミクスや五輪の開催に伴い経済指標の改善が見られています。中国信託銀行は買収を機に、アジアの株式や債券で運用する投資信託を富裕層への販売、日本の中小企業のアジア圏への進出支援、5年間で海外からの購入額が7倍になった不動産の仲介ビジネスなどを主に取り組んでいます。

この二社の他にも日本に進出する台湾企業は、日本の高い技術力に目をつける半導体やIT産業を中心とするメーカーが挙げられます。また、2015年には台湾からの訪日観光客が総人口の約一割を占める300万人にも上りました。そのため、観光客を対象にしたビジネスも増加しています。

台湾に進出する日系企業の動向

次に、台湾に進出する日系企業の動向について紹介します。台湾への投資額は年々上昇しており、2009年の投資額は239万米ドルだったのに対し、2014年には倍以上の547万米ドルにも膨れ上がっています。もともと投資額が多かったIT産業や電子材料分野に加え、近年では小売り、飲食、ITソフトなどの第三次産業が中心になっています。

台湾は親日的な風土があり、海外展開の足掛かりとして検討している企業が多いです。ただライバルが多いことも事実なので、台湾の消費者や競合他社、規制などを分析した上で事業戦略や体制を構築する必要があります。
また、台湾は中国や東南アジアなどにネットワークを持つ企業が多くあります。そのため将来的な海外販路拡大に向けたパートナーを取得する場所としても注目を集めています。

増々拡大していく日台のビジネスの連携に、今後とも目が離せないですね。